ベンジャミン ントバ
なつかしい場所に生まれた淋しさに淋しさを剰する青アカンサス
あやす人にぼくの気持ちはとどかないおなかがすいているすいている
ぼくたちのあたまのうえをからすゆくママの個性をわらうことなく
手をつなぐうべなうように道があるひびわれながらつづく大地に
いなくなった子がいた場所あれはなんの鳥だろうまた来た
半濁音が浮かぶ夜空か半濁音の中の地球かぷよぷよする
水族館宇宙からきた淋しさがジンベイザメの下に息づく
ああまただ過ちなのに呼んでいる水族館にいないかもめを
ひとりはいる塊として群れながらはぐれつづけるファラウェルの魚
教室の窓から見える青空が夜空にかわる夜のフライイング
犬がかけまわるぼくさえいなければ宇宙は正しい法則の中
子供らといっしょに遊ぶのが上手ぼくより少し大人なのかも
おちている海かとおもうあおむけの君がまぶたをひらいた瞳
部屋中に君が飾る写真は夜空になれない夕焼け空ばかり
くちびるを読むでも読まなかったふりをする電車は加速して消えた
秋摘みの果実のようなくちびるがさよなら系の銀河を告げる
右手から落つ鉄道の図書室の詩歌の棚のディラン・トマスは
鼻をかむのを途中でとめる流れてきた歌の言葉をたしかめるため
木立ちから青年さらいがあらわれるわが青年をさらう素の手が
人はなぜ泣くのだろうかコーカサス理由は森羅万象ぜんぶ
指先から弟を埋める砂粒が足りない果てしない砂漠でも
弟を埋めるむしろわたしを埋める弟が消えるむしろわたしが消える
馬車は運ぶ死者と死の使者御者も死者獅子の模様の使者の死の私書