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2010年2月12日 (金)

中国の不思議な役人



降る花をまとう薄暮の腕もてイエスを抱けば若き心拍



獺祭図 惨には遠い惨もあり水際狩られし王子の半裸



鯉の朱も眼裏に疾しおとうとは旅人算の甲に似ていた



いっせいに孔雀の群が羽根ひろげる贋の銀貨が積もる広場に



古い詩がふとよみがえる紫の唇の麻酔が醒める夕暮れ



灯台の異国母国の点滅に海霧より深し言葉の夜は



香わしく錆びる戦車も年々に無国籍化をたどる半島



配達夫の草色帽の赤とんぼ古地図に見入るごとき複眼



葉が落ちてわたしは気づく安穏から逃げられたのにとどまったこと



少年の手に手を重ねふたしかな明日の十指で握る秋砂



『砂糖菓子、あの砂糖菓子はどこから降るの。』

『時計台。時計台から。』



卵るりきろのこらみるわれざればさりてそれからわれあるる雛



音叉庫の一律の闇をさまよえり父がなくした母音さがして



象の歩み見て来し涙青かりけりいつ盗人にとられるひかり



貨物船に虹積む積み荷職人の太き声する朝の波止場に



過呼吸の影こそ見えね陽炎を立てて間近に息づく天使



もう海を捨てた人魚の顔をして真冬の雨に濡れるおとうと



百匹の群を離れた一匹の羊の上にツェッペリン号



かげろうの羽ばたきとおなじ速度もてくちつけす狩猟禁止区域で



ひまわりの梯子のはしごのいただきのお日さまあわれ夜を持たない



陰茎の月をめざすをみどりなす少年あわれ夜を待てずに



この丘に立てば廃墟となるまでの一瞬は見ゆあきつは流れ



十字架を背負う十字架言葉とはその足跡が消える砂浜



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