ニューヨークの唇
月を追う途中の子どもにあいさつをさよならみたいに青いハローを
メリーゴーラウンド過酷な豊かさに目ひらきてまた回りくる馬
霧吹きで虹を作った九月から空を見ようとしない人のため
頬をつたうイルカの群がすきとおり明日の海の音階になる
海を吹き樫の木を吹き風は来たツーストライクののちのホームへ
打者走者一塁空過スタジアムにテロの予感の冴えざえとして
かなしみも改札口を出るときは勤め人の顔を装っている
何度でもぼくの強さを信じ直すニューヨークのニューヨークのビルの幽霊
時計工の指さき涼し世の終わりを鳴きわたる鳥の止まり木に似て
今日ひと日笑わなかったおじいさんが夜空に「ぼく」と吐く白い息
やさしさの陽はふりそそぐ青空をくちうつしにて運ぶわれらに
いまどこの青にふれてるぱれいどをおえてはなした白いふうせん
ゆく空と大西洋の中ほどにビルが二人でまだ生きている
デスクから顔をあげてね 銀色の 飛行機が 淋しがるのでよろしく
卵と卵をぶつけると片方だけ割れる片方だけ割れる
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